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「ランプシェードにランプをともすと素晴らしいですよ」と話す丹治さん |
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ユニークさ注目
ノン・ブラック大賞受賞
水戸市の茨城県民文化センターで7月4日から9日まで開催された「第49回ノン・ブラック展」。大賞を受賞したのは、常陸太田市の丹治カツイさん (66) の陶芸作品だ。「変則重ね オブジェ」「ランプシェード 燈塔」などの5作品はそのユニークさで会場でも注目を集めた。「ノン・ブラック大賞を励みに、今のひらめきを大切にして作風を広げていきたいです」と丹治さんは陶芸への熱い思いを語る。
丹治さんが陶芸に熱中するようになったのは、子どもと一緒に陶器の花器を造ったのがきっかけだった。その後体調を崩すなどがあってしばらく陶芸を続けることができなかったが、11年前に笠間の陶芸家に出会ったのを機に活動を本格化させる。笠間に年4〜5回通い、4年前からは常陸太田市の陶芸サークルに、 2年前からはノン・ブラックの例会に毎月参加して腕を磨いた。
1969年の設立以来、毎年大賞受賞作品に注目の集まるノン・ブラック展。第49回目となる2007年の大賞を受賞した丹治さんのオブジェとランプシェードの5作品は、1つの作品が100個以上のパーツで出来上がっている。素焼きした各パーツに釉 (うわぐすり) を付け、デザインして組み立て、本焼きをした。とても手の込んだ作品で、1つの作品に1カ月以上費やした。
なかでも「ランプシェード燈塔」は高さ73メートルの力作で、各パーツを同じ寸法にして高さをそろえるのに苦労した。テストピースを造った段階でノン・ブラック展発起人の斉藤義孝氏に見せたところ、「無数に造って組み立ててみたら面白いのでは」とアドバイスされ、完成にこぎつけた。
昨年は日立市にある国登録有形文化財で大正時代に建てられた芝居小屋「共楽館」の模型を陶器で造ったというから驚く。「子供のころ、共楽館で学芸会や運動会をし、とても懐かしくて思い入れがあったので」。80分の1の大きさに仕上げるまで2カ月かかった。この作品は、日立市展に入選し、「アンテナショップ共楽館」で展示されている。
順調な陶芸活動の裏には夫の協力も大きい。「受賞作もパーツのゲージ(見本)など、作品を造るのに必要な小道具を作ってくれました」
現在は、8月の「笠間アマチュア陶芸大賞」に出品するかご (くだもの入れ) の製作に取り組み中だ。「とにかく陶芸が楽しいので、時間があれば造っていたい」と意欲満々だ。
『ノン・ブラック展』
県内の美術集団「ノン・ブラック」による展示会。毎回、個性あふれる絵画、写真、陶工芸が出品される。 |
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