|
|
白くかれんな“大根むき花” 水戸市/大根むき花保存会 |
|
|
|
大根むき花保存会会員たち |
|
鮮やかな包丁さばき─。包丁が透き通って見えるほど薄い大根のかつらむきで、見事なボタン、アヤメ、キクができあがる。水戸市指定無形民俗文化財「大根むき花保存会」は、水戸市元石川地区で約100年前から伝わる、この「大根むき花」の作り方を伝承している会である。後継者育成に力を注ぐ同会は昨年11 月に行われた「ねんりんピック茨城2007」で実演・展示し、常陸宮ご夫妻が見学される団体に選ばれた。白くかれんな“花”で常陸宮ご夫妻と来場者の心をつかんだ。
伝統技術を後世に継承
水戸市の保存会 包丁さばき後継者育成
「大根むき花」は、旧水戸藩の料理人から教わった人が元石川地区で広めたのではないかといわれている。1888(明治21)年に元石川地区の手子后神社に奉納された絵馬には、大根むき花の絵と師匠と門人の名前が書かれている。
大根むき花は代々元石川地区で結婚式に出された料理(石川料理)を飾っていた。花嫁は嫁ぎ先の色に染まる、という意味で大根は染めなかったという。
「大根むき花保存会」会長の郡司仁郎さん(75)は約50年前、結婚式で大根むき花を作っていた人に教わったことがきっかけで、1962(昭和37)年に同会を発足。現在会員は約20人。会社を定年した人や農業をしている人、主婦など40代から70代が、元石川地区だけではなく、常陸大宮市などからも通ってくる。毎週土曜日、夕方から2時間、水戸市元石川町の石川会館で練習に励んでいる。
大根むき花は、かつらむきが基本。ボタンの作り方は頭(花びらの形の切り込み)を最初に作ってから、かつらむきをする。大根の太さが違うのに、同じ厚さにむかないといけないので大変難しい。
かつらむきの長さは10センチ以上ある。しんにいくほど、包丁が透けて見えるくらいに薄くむく。最後は1枚につながる。むいたものを巻き戻し、ようじで固定させてから1枚ずつ開き、花びらを作る。それを水に入れるとさらにみずみずしく美しくなる。
|
大根むき花 |
白い花の競演 ボタン、アヤメ、キク
かつらむきが基本 作り方CDに保存
「昔は『かつらむき3年、花8年』と言われていました。大根100本ぐらい練習すると上達します。数多く練習すれば1年ぐらいで花を作れます」と会員の栗原秋男さん(59)。
皆川守さん(67)も「42歳のころに入会しました。精神修養にとてもいいです。集中して作っていると、会社での嫌なことを忘れます」と笑顔で話す。
会員たちは、地元の小学校の授業で大根むき花を教えたり、酒門の公民館祭り、水戸市の産業祭などで実演したりしている。「最近の結婚式では、料理の持ち込みはできませんが、東京で行われたおいの結婚式で大根むき花を提案したところ、ホテル側が乗り気に。わたしがボタンを作り、式の料理を彩りました」と皆川さんは笑みを浮かべる。
「大根むき花は、100年以上続いてきている民芸。何とか若い人たちに伝えていきたいです。そのため昨年、大根むき花の作り方をCDに保存しました」と郡司さんは継承に情熱を注ぐ。
問い合わせ:TEL 029-247-5729 (事務局長/栗原秋男さん) |
|
| |
|