茨城県フラワーパークで演じる清水さん |
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「がまの油売り」口上
サァー サァー お立ち会い、ご用とお急ぎでない方はゆっくりと聞いておいで、見ておいで。遠目山越し笠のうち 聞かざる時は物の出方善悪黒白 (でかたぜんあくあいろ) がとんと判らない〜
おなじみの「筑波山名物がまの油売り」口上の一節。この口上の後継者作りに情熱を燃やしているのは那珂市後台の清水泰清さん(67)。4月から受講生を募り1年くらいで口上ができるように指導するとしている。
後継者作りにも一役 物産展など催事に出番
清水さんは福島県の出身。大学卒業後、産業・FA機器のディーラーに就職。配属が水戸支店となり、水戸での生活が長くなったものの47歳で東京勤務となり、54歳で重職に就く。58歳で重職を解かれた。この間30代で現在地を購入、家を建てた。時間に多少のゆとりが出来たために定年後のためになにか趣味を持ちたいと考えていた。最初に挑戦しようとしたのは“磯節”。「これは自分には無理だ」とすぐあきらめたという。
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清水泰清さん |
そんな矢先、新聞記事に「がまの油売りの口上者が少なくなってきておりピンチ」という記事を読んだ。受講生を募集していることから、それに応募。月1回半年で修了。
「この程度では人さまの前で口上ができるわけがない」とそのときの受講生5人ががまの油売り口上研究会の宇野昭さんに頼みこんで「毎週土曜日、2年間修業を積んでやっと形になりました」と語る。
2000(平成12)年に定年を迎えてからは口上に没頭、いまでは東京で行われるデパートの茨城物産展の景気づけや水戸梅まつりの宣伝など年間で15回ほど出番がある。
小道具類 |
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「小道具類が多くあって実演する時はライトバンに道具を積み込み出掛けていきます。この小道具が命ですよ。よく宴会などで『口上をやっている』と話すと『じゃやってみてくれ』となるのですが、なにもないところで演じてもまったく面白くありませんので断ります」
「わたしたちは油を仕入れて売りはしません。ただ店先でする場合はお手伝いします。12〜13分の口上で観光土産に1個でも買う気にさせなくては満足とは言えません。ただ拍手だけではね」と口上にかける意気込みは強い。
「口上が出来る人は県内に80人ほどと思います。それ以外に50人ぐらいの予備軍がいると予想していますが、多くはつくば地域におり、水戸近辺は少ないのでぜひこの地域で養成をと考えています」と清水さん。
口上の難しいのは若い人にとって聞きなれない言葉と言い回し。「人前で話すことが苦手な人はこれを克服して取り組んでほしい」と清水さんは1人でも多くの後継者が育ってと願っている。
◎「がまの油売り口上」受講生募集
日時:毎月第1土曜日午後1時〜3時
場所:那珂市後台田向公民館
交通:JR後台駅徒歩7分
料金:無料
問い合わせ:TEL 029-298-3770 |
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