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遠く千葉県銚子市からも習いに来るほどの評判の村山さんのパン教室 |
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「自宅でおいしいパンを手作りできたらいいのになあ」。そう思っているパン好きの人も多いのではないだろうか。3年前、さいたま市大宮区から鉾田市中居に移ってきた村山芳雄さん(63)が開いているパン教室は、生地作りから焼成までの工程はもちろん、ドーナツパンにミルクパン、クロワッサンなど16種類のカリキュラム以外にも自分の好きなパンも教えてもらえることから、近隣の女性を中心に人気を集めている。焼き上がったパンはその場で試食し、土産として家に持ち帰ることができる。「家族中で教室のある日を心待ちにしているので、当日も気持ちよく送り出してもらえる」という生徒の声を聞き、張り切る村山さん。そんなパン教室を早速のぞいてみた。
パン職人の腕 地域に貢献
「早くから独立したかった」という村山さんは30歳でパン店を開業、大宮を始め川口・熊谷・深谷など12カ所で店を出すなど毎日14〜15時間も忙しく働く生活をしてきた。しかし50歳を過ぎて体力の限界を感じるようになったころから引退を考えるようになった。結果的に手を引くのに10年掛かったが、その時ちょうど60歳になっていた。「サラリーマンなら定年を迎える年だなあと思い、それならいっそ田舎でのんびりした生活を送ろう」と考え、現在の地に移り住むことになった。
しかし住み始めて「3日でもう飽きた」。目標もなく何もしない生活は苦しいものだと感じたという。パートにでも出ようかと思ったが、年齢的にも仕事を探すのは難しい。そこで自宅の台所の片隅でパン教室を開くことを思いたった。引っ越してきて半年後位のことだそうだが、「パン教室」という小さい看板を出しただけにもかかわらず、生徒が多く集まってきた。元々30年もパンを焼いていたベテランでもあり、人づてに評判が広まるのも当然といえる。
「大事なお金を払って習いに来てくれるのに台所では申し訳ないのでその後は自宅の敷地内に教室を建てました」と笑って話す村山さん。鹿嶋市にある「かしま灘楽習塾」での教室を含め、現在100人程の生徒が習いにきている。自宅では1回の人数を気の合う仲間同士2人から4人までとし、日時も生徒の都合に合わせ自由に選べるようにするなどの気配りをしている。県内の笠間や常陸太田、千葉県銚子や旭など遠方からから通ってくる生徒がいるというのもなるほどと思える。
取材の日の生徒さんは今回が2回目という鹿嶋市の櫛渕かつ代さん(64)と守屋芳江さん(75)の友人2人だが「パン作りはとても楽しいです。自分で作ったものを食べるという安心感もありますし、先生の人柄もあって話が弾んで2時間があっという間です」ともうすっかり教室になじんでいる様子だった。
高齢の両親をはじめ家族が大宮に残っているため普段は1人住まいだが、自由な時間には好きな釣りをしてコイやナマズを釣ってきたりガーデニングを楽しんだり、推理小説を読んだりと田舎暮らしも満喫している村山さん。
「仕事でパンを焼いていた時と違って、今はみんなとおしゃべりをしたり、知らないことを教えてもらうことも多く、楽しいです。生徒のみんなも楽しいといってくださいますが、自分の方こそ楽しませてもらっています。これからもカレンダーに空きがある限り、習いたいという生徒さんを受け入れ教室をやっていきたいです」 |
村山芳雄さんのパン教室
お問い合せ:TEL0291-39-9388 |
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