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「至福の時」この場所で 日立市大久保町/陶茶舎「州」 |
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陶芸を教える沢畠さん |
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陶器鑑賞、コーヒーも
日立市大久保町の陶茶舎「州」(くに)では、陶芸家である沢畠州さん(57)の作品が展示され、長年ケーキを学んでいる妻の多佳子さん(56)の手作りケーキを味わえる。美味と評判のケーキやコーヒーなどの器はすべて沢畠さんの作品だ。沢畠さんが設計した落ち着いた雰囲気の店内には作品を展示するためのギャラリーがあり、またカウンターがあるので、一人でも気軽に立ち寄れる。
「州」では、ひたちなか市のサザコーヒーの豆を使っている。香りが高く、量が多いと好評だ。
「コーヒーカップは、私がお客さんの好みを考えて選ぶこともあれば、お客さんが器を選ぶこともあります」と多佳子さん。ケーキはすべて多佳子さんの手作り。野菜やフルーツのケーキが多く、甘さ控えめ。特にパンプキンプリンが人気だ。
沢畠さんは、大学を卒業後、福井県の畠山是閑さんの窯で陶芸を学んだ。
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畠手作りケーキ |
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「当時は、『いい大学、いい会社』の時代でしたが、私はサラリーマンには向かないと思いました。手先が器用なので、陶芸家なら生活できるかなと思い選びましたが、苦労しました」。茶席や懐石料理などの陶器を製作するために茶道をたしなみ、東京・築地で板前の修行をして懐石料理を学んだ。
82年に故郷である日立市に戻って作陶生活を始め、多佳子さんと結婚。独自の作陶スタイルをとるために、あえて日立市で製作することを選んだ。翌年には、「半地下式穴窯築窯」(薪釜)を常陸太田市真弓に造った。「どういう焼き物を製作したいかを決め、窯の大きさ、高さ、傾斜を考えました。一人で山の斜面を切り抜き、1日約12時間かけ完成まで1カ月かかりました」
陶芸教室も
83年には、北関東展に入選、翌年には茨城県芸術祭・奨励賞を受賞。渋い色調の陶器や白地にブルーの遠近感のある葉模様の磁器など、土っぽい、わびさびの趣が沢畠さんの特徴だ。2007年11月に常陸宮ご夫妻が日立市を訪問した時に使われた湯飲みを製作したのは沢畠さんだ。吉田正音楽記念館のカフェでも沢畠さんのカップが使用されている。
これまで各地で個展を開催してきたが、92年に陶茶舎「州」を開店後は店内のギャラリーで作品を展示販売している。
「展覧会があると、そのために作らないといけませんし、入選するために傾向に合わせないといけないので、『州』で作品を展示することにしました。最近はわびさびの世界に色を加えるようになり、磁器も作るようになりました。年をとるほど、ひらめきが出てきます。肉体は衰えるのに、精神は若くなります。粘土に自分の肉体と精神を投入して形にするのは大変おもしろいです」と沢畠さんの陶芸への情熱は尽きない。
アトリエやイトーヨーカドー日立店で陶芸教室も開催している。生徒の大半は、主婦や定年退職者だ。
「自分で作った器でお茶を飲んだり、料理を盛り付けたりするのは楽しいですよ。よかったら参加してみてください」
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「州」(くに)
問い合わせ:0294-38-0058
ケーキセット750円〜800円。午後1時〜6時半。水、日曜、祝は休み。また陶芸教室は1回1300円+材料費。 |
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