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子どもに“科学の夢を” 日立理科クラブ/佐藤一男さん |
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「科学する喜びを体験してもらいたい」と畑山さん |
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この春、日立市内の小中学校の理科教育を支援しようと「日立理科クラブ」が創設された。メンバーは日立製作所グループの工場や研究所のOBで博士や技術士、モノづくりのシニアエンジニア、製造現場の匠などのエキスパートたちだ。子どもたちの科学の夢を広げ、緑豊かな自然を大切にする理科学モデル都市・日立を目指している。「培われてきた技能・技術と経験を生かして、理科出前教室やモノづくり工房を展開し、子どもたちに『科学する喜び』『モノを創る感動』を体験させてあげたいです」と代表理事の佐藤一男さん(71)は話す。
「日立理科クラブ」創設 日立製OB70人で
同クラブは4年前から「エネルギーを考える会・ひまわり」として地元の小、中学校で理科の授業支援を行っていた。題材の主はエネルギー問題について。実験模型の展示や授業を行っていた。この活動経験を基に、理科教育全般を支援し、子どもたちの理科離れを解決しようと発足したのが「日立理科クラブ」だ。メンバーは、日立製作所グループの工場や研究所を定年退職した約70人。博士や技術士、シニアエンジニア、製造現場の匠など、科学のエキスパートが集まった。培われてきた技能・技術と経験を生かして、子どもたちの好奇心に灯をともす。同クラブの活動には、日立市と日立製作所が支援している。
「わたしは、子どものころ理科の先生からいろんなことを教えられ理科に興味を持ち理科系の学校に進みました。日本は工業立国と言われています。資源がない国なので頑張らないといけません。子どもたちに理科を好きになってもらいたいと思っています」と事務局長の畑山直勝さん(65)。
理科室のおじさん
クラブでは、「理数アカデミー」「理科室のおじさん」「理数授業支援」「モノづくり工房」「ふしぎ不思議ランド」の5つの分野に分かれて活動している。中でも「理科室のおじさん」は子どもたちに人気だ。
担当者は小学校に週2回駐在し、理科の授業の手伝い、実験の準備、理科室の整理整頓や整備などを行う。時には人生相談に応じることも。「白いユニホームが目立つためか『理科室のおじさん』と話しかけてくれることがうれしいです」
また、小、中学校への出張授業、中学生を対象とした集中講座なども行っている。特に集中講座では、中学生の理科への関心と理解を高めるべく、授業より幅広い範囲を、応用まで教え、将来の科学者やエンジニアの育成を図っている。
「工作やモノづくりを通して子どもたちに理科が楽しいということを分かってもらいたい。『現代の名工』に選ばれた人なども子供たちと一緒にモノづくりをしますよ。水ロケット大会も開催します」と畑山さん。
「パソコン、携帯電話など科学は身近にありますが、子どもたちはどういう風に原理が動いているか知りません。科学を学ぶことにより、子どもたちが原理を理解し、技術を磨こうということに結びつけてくれたら嬉しいです」と理事の小佐野勝春さん(70)。
笑顔が報酬
同じく理事の荒木昌三さん(68)は、「勉強している理科が生活にどう生かされ社会に貢献しているかを知ってほしい。自然のしくみをじっくりよく見て考えるということは人間の成長にも役立ち、人のことを考えるようになり思いやりも生まれると思います」。
教科書だけの授業よりも、実験装置を動かして体感することで、子どもたちの目を輝かせるという。「我々の報酬は子どもたちの笑顔です」と佐藤さん。1人でも多くの子どもたちに科学の楽しさを伝えるため、メンバーたちは、培われてきた技能、技術と経験を生かす努力を惜しまない。
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日立理科クラブ
問い合わせ:0294-24-3104(月曜休館) |
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