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イタリアの「南北問題」をご存じでしょうか? 以前は、南の貧しい土地からミラノやトリノなど北の都市へ流れる国内移民が多く、北の富裕層と南の対立が激しかったのです。現在は、エチオピア、リビアといったアフリカ大陸からの難民をどうするのかが問われています。イタリアでこのニュースが取り上げられない日はありません。6日から岩波ホールで上映される「海と大陸」(伊・仏映画)は、まさにこの2つの「南北問題」を取り上げた作品です。
映画では、漁師の祖父と孫がアフリカから海を渡ってやってきた難民を助け、かくまいます。もちろん不法移民の救出は禁止されていますが、誇り高い“海の男”である祖父は、おぼれている人は助ける、という海のおきてに従う方を選ぶのです。ここから物語が動き出します。
イタリアのジレンマは、自分たちもかつて移民としてアメリカに渡り成功してきたという歴史があるのに、移民を受け入れる側になったらおいそれと受け入れられる態勢になれないというところにあります。この映画の監督はローマ出身ですがシチリアにルーツがあり、ニューヨークで映画の勉強をしたのでたぶんそのことを強く実感したのでしょう。
イタリアの享楽的で明るい一面と観光では分からない陰の部分。日本と比べながら見るのもまた面白いですね。
《日伊協会・講師 押場靖志》 |
(C)2011 CATTLEYA SRL・BABE
FILMS SAS・FRANCE 2 CINÉMA |
「海と大陸」 伊・仏合作映画
監督:エマヌエーレ・クリアレーゼ、出演:フィリッポ・プチッロ、ドナテッラ・フィノッキアーロ、ミンモ・クティッキオ、ジュゼッペ・フィオレッロ、ティムニット・T。93分。
6日(土)から岩波ホール(TEL.03・3262・5252)で上映。 |
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