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ポテトチップスの原料は生のジャガイモです。ポテトチップス発祥の起源をたどると19世紀半ばのアメリカにいきつきます。ニューヨーク州にあるレストランのコックが、フレンチフライの厚みが気に入らないという客のクレームに対して、原料のジャガイモを極力薄くスライスし、カリカリにフライ調理したのが始まりとされています。
現在でもポテトチップスの作り方に大きな違いはありません。生のジャガイモの皮を薄くむいて一定の薄さにスライスし、すぐに短時間でフライ調理をします。その後、表面に味付けをします。このように原料のジャガイモを極めて簡単かつ迅速な加工調理方法を用いて製品化しているため、ジャガイモが持つ自然の恵みがしっかりと残っている菓子といえるのです。
実はジャガイモには、イメージとは異なり多くの栄養成分が豊富に含まれています(図参照)。ジャガイモは根菜類なので広く捉えると野菜に分類されます。したがって、ビタミンや白色の可食部には、抗酸化機能が期待されるポリフェノールの一種クロロゲン酸類が豊富に含まれています。これらジャガイモの食品としての素晴らしさは、これまで人類の飢饉(ききん)を何度も救ってきたという歴史的事実が証明しています。
さらにジャガイモに含まれるビタミンCはでんぷんに守られているので熱に強いという特長もあります。ポテトチップスは薄切りジャガイモを瞬時に揚げることで、栄養を損なわずに余分な水分をとばします。その結果、原料のジャガイモの栄養分がおよそ2倍に濃縮されるのです。
《カルビー(株)研究部部長 農学博士 古賀秀徳》 |
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