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「いとしきエブリデイ」
©7 DAYS FILMS LIMITED 2012.
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「宝石を見つけた!」。これは、映画祭で素晴らしい作品に出合えた時の私の口癖です。
カンヌ、ベルリンなど、映画愛好家でなくてもよく知られている国際映画祭は数多くありますが、今回はその裏側をちょっと紹介しましょう。
映画祭は通常、約10日間と長丁場。私たち映画配給会社の人間は、その間、上映される作品を何十本と見て買い付けする映画を探します。上映は朝の8時半から時には深夜にまで及ぶことも。どれももちろんまだ日本語に翻訳されていませんから、英語の字幕とにらめっこ。かなりの集中力が必要です。1日に5本ほど見ますので、後半は若干ばて気味なこともあります。
数人で手分けして見て、夜はミーティング。時には熱く意見を戦わせます。買いたい作品に的を絞ったら、その作品を扱うエージェントにあいさつし、条件交渉へ。人気作には当然ライバルも多いのでその時は神経を使いますが、そうでない時はがぜん強気です。そういったことを一通り済ませ帰国の途に就く、という流れです。
映画祭にも活気の波があり、最近はカナダのトロント映画祭と、韓国の釜山映画祭が注目されています。
11月から弊社が配給する「いとしきエブリデイ」は、昨年、トロント映画祭で出合った魅力的な作品で、何気ない毎日の繰り返しの中にある悲しみの自浄作用が描かれています。
私の経験上、配給作品との出合いは“ご縁”です。大手の配給会社でしたら、ハリウッドの未完成作品を出演者の名前で判断して買う、または予告編だけ見て買うということもありますが、もちろん値段もけた違いですし、弊社のような小規模の配給会社では、あまりこういったことはしません。でも絶対に出合えると信じてじっと我慢していると、“映画の神様”がこれぞという作品に出合わせてくれる。そんな気がしてなりません。
《(株)クレストインターナショナル 社長・渡辺恵美子》 |
「いとしきエブリデイ」 イギリス映画
監督:マイケル・ウィンターボトム。イギリス映画、90分。
9日(土)からヒューマントラストシネマ有楽町(Tel.03・6259・8608)で上映。 |
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