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「世界の車窓から」のナレーションで知られる石丸さんは、自身も鉄道の旅を楽しむなど、多趣味で知られる。アウトドア活動では「ぼくなどまだまだ“ひよっこ”。60代、70代でぼくよりすごい人がいっぱいいる」 |
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「世界の車窓から」ナレーション
“癒やしの声”ともいわれる「世界の車窓から」(テレビ朝日)のナレーション…。ナレーターを務める俳優、石丸謙二郎さん(55)は、自らの性格を「実はやんちゃで好奇心旺盛」と話す。スポーツやタップダンスを楽しみながら鍛えた体を「舞台の上で躍動させている」。芝居のキャリアは長いが、ミュージカル初出演は50代。「何歳になっても新しい挑戦を続け、自分の可能性を広げたい」と意気込みを語る。
ミュージカルに意欲
毎日深夜、テレビ放映される「世界の車窓から」。石丸さんは1987(昭和62)年の放送開始からナレーターを務める。「23年目に入った。(放送回数は)あと少しで8000回」。ナレーションは、落ち着いた印象の深みのある声だ。「一番リラックスしている時の独り言と同じ。『ああ、おいしいなあ』とつぶやくような感覚です」。普段の口調は快活でテンポ良く、「友達とはしゃいだりすると、『車窓から』のイメージと全然違うといわれる」と屈託ない。
大分市出身の石丸さんは高校生の時、複数の運動部のほか演劇サークルでも活動したが、「役者になるという大それた気持ちはなかった」と振り返る。
「心身を研ぎ澄ませる」
東京でアルバイトをしていた24歳の時、劇作家・演出家のつかこうへいと出会い、「みんなでつくっていくという芝居の本当の面白さを教えていただいた」。風間杜夫、平田満らとともに舞台に立ち、躍動感と渋みを兼ね備えた演技に磨きをかけた。「世界の車窓から」で知名度が上がったこともあり、30代半ばからは映画やテレビドラマの出演が増えたが、「(開演で)どん帳が上がる瞬間のわくわく感がたまらなく好き。自分の“素”はやはり舞台」と笑みを見せる。
タップダンス披露
フリークライミングやウインドサーフィンなど、趣味のアウトドア活動を通し全国各地に友人を持つ石丸さん。スポーツ選手やアクション俳優らが身体能力を競うテレビ番組にも出場を重ねるだけに、「最近、アウトドアの知人から『石丸さん、舞台もやるんですか』と聞かれてしまった」と苦笑する。しかし「舞台に“研ぎ澄まされた肉体”を持っていくのが、ぼくの仕事」。20代から続けるタップダンスの実力を買われ06年、親子で楽しめるミュージカル「フロッグとトード」に、川平慈英とともに主演した。「ミュージカルの本場、ブロードウェーで賞賛された作品。趣味で始めたタップダンスに熱中したおかげで出演のチャンスが巡ってきた」と笑う。
7月から全国公演
「フロッグとトード」は、心優しい「かえる君」と寂しがり屋の「がま君」との友情を、ユーモアを交え描いた物語。石丸さん演じる「かえる君」と川平の「がま君」は、どちらも“独り暮らし”という設定だ。互いを思いやる姿を四季の移ろいとともに表現し、「自分と同年代以上の人を含め、世代を超えた共感を呼んだ」と石丸さん。07年の再演に続き、7月からは全国各地での再々演を控える。「年配の方にも見ていただきたい。見る人の年代や経験によって、いろいろな感じ方ができ、誰もが“心のぬくもりと和らぎ”を味わえる内容です」と言葉を継ぐ。劇中の歌は親しみやすいが、現代音楽の技巧が凝らされ、「ミュージカルの大ベテランも嘆くほどの難曲」。メロディーを口ずさみ、「移動の車中で、こんな感じのレッスンもしています」と意気込みを語る。
「1秒間に18回」
今は「自主トレ」として、砂浜を4キロ走り込む毎日だ。石丸さんがタップダンスで床を鳴らす回数は、前回公演までは1秒間に12〜15回だったというが、「今なら18回はできるかな」と話す。ミュージカル出演で歌と踊りに磨きをかけ「役者として成長できた。少し自信を持って、ミュージカル本来の楽しさをお伝えできそうです」と目を輝かせた。
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ブロードウェイミュージカル
「フロッグとトード」
7月18日(土)、北とぴあ(JR王子駅徒歩2分)さくらホール。8月15日(土)〜23日(日)、サンシャイン劇場(JR池袋駅徒歩15分)。東京公演は計12回。
原作:アーノルド・ローベル
上演台本・訳詞:高橋亜子
演出:鈴木裕美
出演:石丸謙二郎、川平慈英ほか。
料金:一般6000円、子ども(3歳〜小学6年生)4000円、親子ペア券9000円。全席指定。
上演時間は問い合わせを。CATチケットBOX:TEL03・5485・5999
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