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当たり芸の一つ、コーラの一気飲みのポーズをとる渡辺さん。テレビ番組の中で300ミリリットルのコーラ4本を飲みほしたこともあるという。そんな渡辺さんが「元気なうちにかなえたい」と考えている夢はヨーロッパへの旅。「ギリシャやスペインなどを旅して、その国の文化に触れてみたい」。ただ、難しいのが家族や仲間とのスケジュール調整。「未経験の一人旅に挑戦しようかな」と思案中だ |
5月13日開幕の舞台「熱海五郎一座」最新作に出演
芸人仲間から“リーダー”の愛称で呼ばれ親しまれている、「コント赤信号」の渡辺正行さん(67)。40年を超える芸歴の中でコントからテレビ番組の司会、俳優、声優と幅広く活動してきた。そんな渡辺さんが、「毎年楽しいメンバーと喜劇ができる」と大切にしている舞台が「熱海五郎一座」シリーズ。三宅裕司の演出で出演メンバーと共に爆笑の舞台を作り上げてきた。5月31日から始まる最新作「幕末ドラゴン」では、現代から幕末の京都にタイムスリップした劇団員を演じる。根は真面目な渡辺さんだが、「(舞台上で)『こいつ不真面目だな』と見えていれば成功です(笑)」と話す。
座長の三宅裕司を中心に、喜劇人や多彩な女性ゲストと音楽やダンス、活劇をふんだんに散りばめた総合エンターテインメント「熱海五郎一座」。公演場所を新橋演舞場に移してから9作目となる「東京喜劇・熱海五郎一座 幕末ドラゴン〜クセ強オンナと時をかけない男たち〜」では、ゲストに檀れいと玉井詩織(ももいろクローバーZ)を迎え、高齢者演劇集団の面々が幕末の京都で大暴れする。劇団員たちは、幕末の京都を舞台にしたミュージカルの稽古中、どういうわけか同時代の京都に時空を超えて移動してしまう。そこで志士・坂本龍馬の暗殺を阻止する一方、龍馬の妻、お龍の美貌にメロメロに。また、新撰組と意気投合して大騒ぎ。果たして、彼らは無事現代に帰ることができるのか—。
舞台「熱海五郎一座」は、2004年の旗揚げ公演(スタート時は伊東四朗一座)以来、20年を除いて毎年上演してきた人気シリーズ。そのほぼ全作に出演している渡辺さんは、長く続いている理由について「僕ら個々のキャラクターを、座長の三宅さんがバランスよく一つにまとめてくれているから」と話す。三宅と一座のレギュラーメンバー、渡辺さんやラサール石井、小倉久寛、春風亭昇太、東貴博らとの間には強い信頼関係があるという。「個々の演技では『どっちのギャグが(観客に)受けるのか』と悩むことも多いのですが、そんなとき、みんなは三宅さんの判断に任せます。三宅さんの意図する『笑い』に向けエネルギーを集中すれば客席から笑いが起こると、“体感”で知っているからです」
お笑いタレントとして長く活躍を続ける渡辺さんだが、デビュー前は落語家、俳優を目指していた。1956年、千葉県いすみ市に生まれた渡辺さんは中学、高校と剣道に打ち込んだ。しかし大学(明治大学)に進むと、「もう剣道はいいや。なんか楽しそうなところに入ろう」と落語研究会(落研)へ。そこで運命的な出会いが待っていた。先輩の3年生「5代目 紫紺亭志い朝」、後の立川志の輔の落語を聞き、その面白さに衝撃を受ける。また、落研の4年先輩、三宅の影響もあって将来落語家を目指すことになる。剣道の経験から、「何事も努力すれば徐々にうまくなっていくものだ」と信じていた渡辺さんだったが、落語がなかなかうまくならず、「表現するものってまた別の才能なんだな」と気付く。そして落研の同期、小宮孝泰に誘われて落語上達のために入ったのが劇団「テアトル・エコー」養成所。そこで芝居の勉強の一環として小宮とコントを始めたところ、同養成所に在籍していたラサール石井も加わり、1977年にコントグループ「コント赤信号」を結成する。
司会でも実績
それからはお笑い芸人としての道へ。80年に「花王名人劇場」でテレビデビューした「コント赤信号」は、“暴走族コント”での渡辺さんの決めぜりふ「待たせたなあ!」などで瞬く間に全国に知名度が広がる。その後、ピン芸人としてもビートたけしや明石家さんまの「オレたちひょうきん族」など人気番組に出演。タモリの「笑っていいとも!」で始めたコーラの早飲み対決が人気に—。その後、渡辺さんはテレビの司会者も務めるようになり、逸見政孝や関口宏、黒柳徹子ら名司会者の番組でサブ司会者の位置を占めた。
テレビ番組などの出演で多忙な傍ら86年から「若手芸人が演じる場を提供しよう」と自ら主催して渋谷区のライブハウスで始めたのが、「ラ・ママ新人コント大会」だ。「ラ・ママ」には、ウッチャンナンチャン、バナナマン、爆笑問題、オードリーなど現在、第一線で活躍する数多くの人気芸人が無名時代に出演している。渡辺さんは「ラ・ママ」で37年間、若手芸人を見続けてきた。そして、これからも「若手が経験を積み、成長していく場として『ラ・ママ』を続けていきたい」と考えている。
体の「変調」を克服
お笑いから司会、俳優など活躍の場を広げてきた渡辺さんだが、50歳を越えたころ体に異変を覚えた。「ある舞台で、今まで経験したことがない、体中の血液が逆流するような上がり方をした」と言う。それが何日も続いたので知人の医者に相談したら、出演していた舞台への不安で精神的に追い込まれていたのが原因と分かり、薬を飲むとすぐに良くなった。「僕らの世代だと不調になっても我慢して、根性で乗り切ろうと考えてしまう。でも、そんなときには専門家に相談することが一番ですね」。その後、長く中断していた剣道を再開し最近、6段位に昇段。「昔の経験があるので、勝負勘が戻るのは早かった」。剣道の新たな仲間とも知り合い、パワーを得た渡辺さん。舞台「熱海五郎一座」でも楽しい笑いを見せてくれるのに違いない。 |
熱海五郎一座「幕末ドラゴン〜クセ強オンナと時をかけない男たち〜」
5月31日(水)〜6月25日(日)、新橋演舞場(地下鉄東銀座駅徒歩5分)で。全33公演。
作:吉高寿男、出演・構成・演出:三宅裕司、出演:渡辺正行、ラサール石井、小倉久寛、春風亭昇太、東貴博(交互出演)、深沢邦之(同)、劇団スーパー・エキセントリック・シアター、檀れい、玉井詩織(ももいろクローバーZ)。
全席指定。一等席1万1500円、2等席9000円、3階A席6000円、3階B席2800円。
問い合わせはチケットホン松竹Tel.0570・000・489 |
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