|
|
レスピーギの交響詩「ローマ三部作」を演奏 指揮者・西本智実さん |
|
|
|
指揮者の西本智実さん |
「街の歴史や絆を表現したい」
5月6日、Bunkamuraオーチャードホールでは、イタリアの作曲家レスピーギによる交響詩「ローマの祭り」「ローマの噴水」「ローマの松」が演奏される。3曲ともに大編成オーケストラを駆使した明るく華やかな曲調で、5月にぴったりなプログラムだ。指揮は、今や世界各地で活躍し、自身が率いるオーケストラ「イルミナートフィル」の芸術監督も務める西本智実(44)さん。「必ず、おっ!と言っていただける演奏会になります。ローマに残る人々の絆、街の美しさ、歴史、風景を写実的に表現したい」と語る。
管弦楽曲の大家、レスピーギが20世紀初めに完成させた交響詩「ローマの祭り」「ローマの噴水」「ローマの松」。吹奏楽にアレンジされることも多く、一度は耳にしたことがある人も多いはず。
3部作の中でも特に人気が高いのは、「ローマの松」だ。松は古代からローマの街に植えられ続けてきた樹木で、いわば街の“歴史の証人”。レスピーギはその目線になって、往時のローマを音楽にした。ホルンの深い響きやクラリネットの澄んだ音色、オーケストラ総勢でエンディングに向かって盛り上がる躍動感—。古代ローマの繁栄がよみがえる。
「昨年秋にローマへ行った時には、アッピア街道(古代ローマの進軍道路)へ足を運びました。真っすぐ通された石畳の道はおそらく紀元前から変わらない空間で、当時と私が今見ている景色はきっと同じだと思うと感慨深いものがありました」
ローマの風景は、常に西本さんに大きなインスピレーションを与えてくれるという。
「昔から残されてきた遺跡が今も街のそこかしこにあるローマにいると、何千年と続く歴史を紡いできた人たちの絆を感じます。この絆こそ、今、求められているものかなと思いますね」と話す。
レスピーギがこのローマ3部作を書いたのは第一次世界大戦中から戦後10年の間で、イタリア国内はテロや不安定な政局が続いていた時期であった。
「当時と今の世界状況は、緊張状態という点において似ているかもしれません。だからこそ、今、この曲を演奏したい。古代ローマ、ロマネスク、ルネサンス…。時を超えたローマの魅力を、写実的に表現したいと思っています」。演出にもこだわりのある西本さん、「当日まで明かせない“お楽しみ”も用意しています」とも。
西本さんは、ここ数年、イタリア、特にローマと縁が深い。2013年から毎年「ヴァチカン国際音楽祭」に招聘(しょうへい)されており、枢機卿音楽ミサではアジアの指揮者として初めて指揮台に立った。ことし秋の招聘も決定している。
古代ローマは異文化を尊重することで発展してきた。音楽は、異文化同士をつなぐ最たるツールといえる。その担い手として、西本さんは国境や性別を超え、世界各地でタクトを振り続けていく。 |
西本智実 イルミナートフィル
〜華麗なるイタリア音楽〜
5月6日(水・振休)午後3時、Bunkamuraオーチャードホール(JR渋谷駅徒歩7分)で。
演目はロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」序曲、レスピーギ:交響詩「ローマの祭り」「ローマの噴水」「ローマの松」。S席7500円〜。チケットセンター Tel.03・3477・9999
※チケットぴあではS席とイタリア料理店「タント タント」の食事付きを1万円で販売中。 |
|
| |
|