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貸地を売却したい 世田谷区/62歳男性 |
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昭和20年代に私の父が、30坪程の土地を現在の借地人の父親に貸したそうです。契約書はありません。その後相続で所有者・借地人共変わりました。このところ借地人の地代の支払いが遅れ気味となり、再三催告して支払ってもらう状況が続きましたが、ここ6カ月ばかりまた滞っています。土地を売りたいと思い貸地上の建物の謄本を取ってみたら、抵当権が2つも付いておりました。借地人に連絡してもいつも不在で全く連絡がとれず行方不明です。どうしたらこの土地を売ることができるでしょうか。
土地を相手に使わせて地代を受け取っている以上、契約書がなくても土地賃貸借契約は成立しています。
まずやるべきことは、この賃貸借契約の解除です。解除するには、地代の支払いの催告と契約解除の意思表示が必要です。そのために相手に対して内容証明郵便で期限を定めて地代の支払いを催告し、その間に支払いがないときは契約を解除する旨の通知を出します。おそらく内容証明郵便は不送達で戻ってくるでしょう
あなたの場合は、借地人が建物を所有し土地を占有していて、しかも行方不明なので任意に土地を明け渡してもらうことは極めて困難です。
そこで、地方裁判所に建物収去土地明渡等請求の訴えを提起することになります。訴訟を起こす場合、従来は簡易裁判所に民法上の公示による意思表示を申し立てていることが前提でした。しかし、今は訴訟と関連のある地代支払いの催告と契約解除の意思表示を訴状に記載すれば、この訴状を裁判所書記官が相手(被告)に公示送達することで相手に対する意思表示が到達したものとみなされるようになりました。つまり民法上の公示による意思表示と訴訟法上の公示送達との二度の手続きをしなくて済むこととなりました。
訴状と期日呼出状などは裁判所の掲示場に掲示された日から2週間後に送達となり、そこから催告期間を経過したときに初めて土地賃貸借契約は解除となります。
訴訟は相手(被告)欠席で結審され判決言い渡しとなります。判決書も公示送達となり、送達から2週間が経過すると確定します。確定後の段取りは、まず判決の送達証明・確定証明を取ったうえ判決に執行文を付与してもらいます。次に建物の収去決定を取り、裁判所の執行官に建物収去土地明け渡しの強制執行の申し立てをします。
なおここでの注意点は、訴状で未払い地代の請求もしておくことです。この金銭債権で建物を取り壊した際に出る資材を差し押さえて競売することができるからです。
これで土地は完全に更地となります。ここまでやってようやく土地を売却することができますが、これらの手続きは専門家である弁護士に依頼するのが賢明でしょう。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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