|
特別養子縁組とは? 千葉市/35歳女性 |
|
|
私たち夫婦には子どもがいません。そこで生まれて間もない子どもを実子同様にして育てたいと思っています。いろいろと調べたり、話を聞いたりしたところ、特別養子縁組という制度があることが分かりました。この特別養子縁組とはどのようなもので、その要件や戸籍上の記載について教えていただきたいのです。
特別養子縁組という制度は、いろいろな事情から生みの親がその子を養育することができないときに、生みの親に代わって養育する親を付ける制度です。この制度が創設されたのは昭和63年の民法改正によってです。
普通の養子縁組と異なる点は、養子と実の父母やその親族との間の親族関係が終了することです。その結果、特別養子となると、実の父母との間の相続や扶養といった問題もなくなり、戸籍上も養子という表示はありません。養父母との間は、実子と全く異なるところはありません。
そのため、普通養子と異なり、次のような制約や要件があります。普通養子の場合は当事者の合意で成立しますが、特別養子の場合は、養親となる者の請求によって家庭裁判所の審判で成立することになります。
その請求の要件は以下のようになります。(1)養親となる者が夫婦であって、かつ、その夫婦2人が養親となること。(2)養親となる者が25歳以上であること(ただし養親の一方が25歳以上であれば、他方は20歳以上で足りる)。(3)養子となる者が6歳未満であること。ただし、養子となる者が8歳未満であって、6歳になる前から引き続いて養親となる者に監護されている場合は認められる。(4)養子となる者の父母の同意が原則として必要。(5)養親となる者が養子となる者を6カ月以上監護していること。(6)実の父母が養子となる者の監護が著しく困難、または不適当であると認められるなどの厳格な要件が必要とされます。原則として離縁は認められません。
次に戸籍上の記載ですが、父欄・母欄には養父母の名前が父・母と記載され、養子との続柄は、長男あるいは長女となり、実父母の表示はありません。ここまでは養親との間に生まれた子と全く変わりません。
ただ、養子の身分事項欄に法律の規定によること、および実の親の戸籍から養子1人の戸籍をつくり、そこから移された趣旨の記載がされます。そのため、この記載をたどれば実の親を知ることができます。これは、実の父母を知る権利を保障したものです。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
| |
|