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  法律 平成26年3月号  
隣家からの雨水が流入  葛飾区/65歳男性

 私の家の敷地は、隣の家より若干低く、しかも境界塀がフェンスでできていて下方が金網となっています。そのため、大雨が降ったときには、雨水が私の家の敷地に流入し、庭にある池があふれて金魚が逃げ出すなど被害が出ます。また、隣家の屋根が境界線まできていて、樋(とい)が下がっているため、雨水が樋を越えて、直接私の敷地に落下します。隣家の人に雨水の流入を防ぐ工事と、下がっている雨樋の付け替えを請求することができるでしょうか。


 民法によると「土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない」(第214条)と規定しています。つまり水は高い所から低い所へ流れるのは自然現象であるから、これに反する行為をしてはならないというのです。

 したがって、あなたに法律が禁止していることを隣地所有者に請求することはできないことになります。それどころか、もしあなたが土のうなどで雨水の流入を防いで、それによって隣家に被害が発生したときは、逆に賠償請求をされるおそれがあります。

 次に樋の付け替えのことですが、雨が一度隣家の屋根に降ったものは、自然の流水とはいえず、屋根の勾配や設置、それに樋の状況などから工作物による雨水の流入となります。

 民法にはこの点についても規定があって、「土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他工作物を設けてはならない」(第218条)としています。さらに第216条では、自己の土地に損害またはそのおそれのある場合は、工作物の修繕もしくは障害の除去や予防工事をさせることができるとしています。これによりあなたから隣家の人に樋の付け替えを求めることはできます。

 また、これとは別に、隣の建物の土台敷または建物の側壁や出窓などが、境界線から50センチメートル以上離れていない場合には違反建築となり、これを理由に隣家の所有者に対して建物完成後でも損害賠償を請求することもできます(民法第234条)。

弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581

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