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遅延損害金の請求 大田区/75歳男性 |
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マンションを所有し、1階は店舗、2〜3階は事務所、4〜6階はマンションとして貸しております。契約書に賃料の支払いを怠った場合の契約解除の規定はありますが、支払いが遅れた賃料についての遅延損害金請求の規定がありません。そこで、新しい契約書には遅延損害の条項を入れようと思っています。聞くところによると、利息制限法などの法律によって請求額の上限が決められているとのことですが、どのくらいまでなら認められるのでしょうか。
賃料不払いによる損害金の請求は、金利ではないので利息制限法の対象外ですから、利息制限法による制限はありません。しかし、借り主が「消費者」である場合は、消費者契約法の適用があります。この法律でいう消費者とは、借り主が事業としてまたは事業のために契約の当事者となる場合を除いた個人を指します。この消費者の契約については、消費者契約法第9条に損害賠償額を年14.6%と規定し、これを超える部分は損害金または違約金名目であっても無効とする旨の規定があります。つまり借り主が居宅のみとして使用する場合は、遅延損害金は年14.6%以上請求できないことになります。
したがって、借り主が法人その他の団体、また個人であっても事業のために契約の当事者となっている場合は、消費者契約法の適用もないので、損害金には制限が無いことになります。ただ、利息制限法の適用がなく、消費者契約法にも当てはまらない場合は、借り主が承諾すれば無制限に損害金を課してもよいのかという問題が出てきます。この点については、社会通念上到底認められないほど高額の場合は暴利行為となり、民法90条が適用され、公序良俗に反する行為となって無効となります。具体的には賃料の2倍程度なら問題ないでしょう。
以上をまとめますと、(1)借り主が個人で住居のみに使用している場合は、消費者契約法によって最高14.6%の遅延損害金となります。(2)借り主が会社などの団体や、個人でも事業用として使用している場合(例えば店舗や事務所)は法律上限度額が定められていませんが、暴利行為となる場合には契約上の規定の全部または一部が無効となる恐れがあります。
なお、損害金についての約束がない場合でも、民法で年5%、商行為の場合は商法で年6%までの請求は認められています。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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