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父親の再婚と相続放棄 千葉市/35歳女性 |
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私の父は現在67歳で、母は5年前に亡くなっております。私は結婚し、未婚の弟が1人おります。最近父から話があり、付き合っている女性がいて、できれば結婚したいとのことです。父には自宅の土地建物、それに社長をしている会社の株式と預貯金などが財産としてあります。相手の女性も何か商売していて、「マンションなど自分の財産はあるから、(父の)財産はいらない」と言っているそうです。父の財産は母も協力して築いたものなので、後妻となった人に渡したくありません。父の財産を守って私たち子どもがその全部を相続する方法はあるでしょうか。
相手の女性は「(父親の)財産はいらない」と言っているとのことですから、相続放棄をしてくれる可能性は高いと思います。
相続放棄は相続開始後、つまり父親がお亡くなりになってからでないとできません。一方で、民法によって相続分として保証されている遺留分は相続前でも放棄することができます。そこで、相手の女性に遺留分を放棄してもらい、かつ父親にその女性(義母)の相続分がゼロになるよう遺言書を書いてもらえば、結果的には相続放棄と同じことになります。ただ、遺留分を放棄するには、家庭裁判所に遺留分放棄の許可審判申立をしてその許可を受ける必要があるほか、父親の遺言も必要です。
このようにしておけば、一応は安心ですが、義母となった人や父親が変心して、父親が遺言を撤回したり変更したりする可能性もないわけではありません。なぜなら遺留分は放棄しても、相続権自体はあるので、父親の遺言が無かったり変わったりした場合は効果がありません。ましてや父親が義母に財産を生前贈与した場合には対抗できないことになります。
そこで、父親の財産が義母に渡らないための方法として次のようなことが考えられます。あなたあるいは弟さん、または両名と父親との間で、父親が亡くなったら、父親の財産、特に土地建物をあなた方に贈与する旨の契約(死因贈与契約といいます)を結ぶのです。そのうえで、死因贈与を登記原因とした所有権移転の仮登記をすれば、安全といえるでしょう。契約は一方的に解除することができないうえに、仮登記をしておけば義母または他の第三者に不動産を譲渡することはないでしょう。仮に譲渡して名義を変えたとしても仮登記があれば心配ありません。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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