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内縁関係と財産分与 渋谷区/38歳女性 |
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私は、不動産業をしている男性と知り合いとなり、結婚の約束もないままに同居して既に7年が過ぎました。この間、彼の仕事が大変な時もあって、私の預金を下ろして渡したり、商売に協力したりしました。彼から時々生活費としてお金をもらいましたが、それでも足りない時には私が負担していました。最近は商売も良くなってマンションを買ったりしています。彼にはほかにも付き合っている女性がいて、いくら言ってもやめないので、別れようと思っています。この場合、私は彼に財産分与の請求ができるでしょうか。
内縁関係というためには、お互いに結婚の意思があって、事実上夫婦として共同生活の実態があることが必要です。内縁関係である場合には民法768条の類推適用により、同居中に築いた財産の分与請求をすることができます。
あなた方の場合は、結婚の約束もなく、結婚の意思を双方が持っていたか不明で、結納、挙式、披露宴など対外的意思表示もないですから、内縁関係を認めることは難しいと思います。しかし、内縁関係としては不十分でも7年間も同居生活を続けて、相手の商売にも協力して財産を築いた事実があります。こういう場合には、民法の規定を類推適用するのが(財産分与制度を認めた)法律の趣旨に合致するとして、財産分与を認める説や審判例もあります。仮に、内縁関係ではないとしても2人で築いた財産を一方が独占するのは公平の原則に反して不合理です。
内縁関係として認められない場合でも、法律上財産の精算を求める方法があります。それは、共有財産の分割請求、または不当利得返還請求です。しかし、これらの請求は種々の要件や制限もあって、権利の実現には十分とはいえません。
あなたの場合は、さまざまな事情を勘案すると財産分与が認められる可能性があります。財産分与でしたら、財産の分割以外に別れた後の扶養あるいは損害(慰謝料など)をも含めた分割も可能です。また、手続き的にも財産分与なら、家庭裁判所の調停や審判なども利用することができます。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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