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遺言書を作成したい 中野区/77歳男性 |
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私はことし喜寿となり、将来のことを考えるようになりました。財産といっても自宅と駐車場付きのマンション1棟、それに株と預貯金くらいです。相続人は妻と子ども3人の計4人です。そこで遺言書を作成したいと思っていますが、先日テレビを見ていたら、ある番組で自筆であっても公正証書にしなければ遺言として効力がないと言っていました。本当でしょうか。効力が同じなら自筆証書と公正証書のどちらの方式がよいのでしょうか。その長所・短所を教えてください。
自筆証書遺言も民法で定められている様式を全て備えていれば、遺言書として有効であって、公正証書遺言と効力においてなんら優劣はありません。
両方式にはそれぞれ長所と短所があって、一概にどちらの方式がよいかを断定することはできません。
自筆証書遺言は、遺言者が遺言書の全文、日付、氏名の全てを自ら手書きし、これに押印することが必要です。訂正がある場合にはその箇所を特定して、何字削除し何字加入かを書いて署名と押印をしなければなりません。この方式の長所は決まった書式はなく、用紙や筆記用具も何を使っても読むことができればよいということです。しかも費用がほとんど掛からないため、何回でも簡単にいつでもどこでも作成できます。
短所としては法律で定めた様式を備えていないと無効となります。さらに、保管中に他人に書き換えられたり、紛失、火災などで滅失したりする危険性もあります。また、遺言者が死亡したときは、できるだけ早く遺言書を家庭裁判所に提出して、検認という手続をとることが必要です。
これに対して、公正証書遺言は、遺言者が証人2人以上の立ち会いの下、公証人に遺言の趣旨を口頭で説明し、公証人がこれを文章にしたうえで遺言者および証人に読み聞かせ、遺言者や証人が正確であることを確認した後、各自が署名押印し公証人が方式に従って作成するものです。
その長所は遺言者の意見が正確に反映されること、遺言書の原本が公証役場に保管されていて紛失、滅失、偽造のおそれがなく、家庭裁判所で検認を受ける必要もありません。
短所は証人が2人以上必要で、遺言の内容が他人に知られ、作成場所も原則として公証役場で作成することです(公証人が出張することも可)。それに作成の手数料を相続財産の金額に応じて公証人に支払わなければなりません。いずれの方法を選ぶかは、相続人間のことも考えて後日問題とならない方式を選択するのがよいでしょう。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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