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  法律 平成29年4月上旬号  
養育費の追加請求  中野区/44歳男性

 今から10年前に離婚しました。当時5歳だった子ども(女の子)の親権者は元妻になりました。財産分与のほか、子どもの養育費として1カ月5万円を支払うことになりましたが、元妻から「間違いなく支払われるか心配なので一括で支払ってほしい」との強い要望が出ました。協議の結果、親から借金をして、成年に達するまでの15年分900万円を支払うことで離婚は成立。子どもは翌年に私立小学校、さらに中学校、高校とも私立校へと進みました。最近になって元妻から「大学も私立に入学させたいが、養育費として受け取った900万円は使い切ったので、さらに養育費を支払ってほしい」との要求がありました。支払いに応じなければならないのでしょうか。


 離婚調停成立時に予見できなかった事情の変更が生じて、子どもの生活の実情に適さなくなった場合には、親権者から、扶養義務者である父親に新たに養育費の請求が認められます。ただ今回のご相談のような場合、果たして「予見できなかった事情変更」となるでしょうか。

 親権者である母親は受け取った養育費を計画的に使用して養育に当てる義務があると考えられます。子どもを公立の小中学校に進学させ、学習塾や習い事などの費用を節約すれば、養育費として受け取った900万円の大半は使用せずに済み、子どもに高等教育を受けさせる費用として使用することは可能であったと思われます。

 小学校から私立に入学させ、中学校も私立となると、学習塾の費用を含めると、高等教育を受ける以前に調停で決めた養育費を使い尽くすことは、当初から予測することが可能であったと認められます。したがって、元妻があらためて養育費請求調停の申し立てをしても、認められない可能性が高いと思います。

 もちろん、当事者間で話し合って養育費の増額を決めることに何ら問題はありません。また両親や祖父母の経済状態や家庭環境、さらに社会情勢などを総合的に判断して、子どもの私立校入学が適切ならば考える必要があるでしょう。特に、扶養義務者であるあなたに資力があるような状況なら、(養育費の不足が生じた原因は別として)子どもの将来のために、養育費の追加を認めたらいかがでしょうか。

弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581

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