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民法改正について 文京区/54歳男性 |
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相続について、民法が改正されたとのことですが、どこがどのように改正されたのか、いつから施行されるのか、分かりやすく説明をお願いします。
平成30年7月6日に、約40年ぶりに相続制度を大きく見直す改正民法が成立し、施行日は、原則的には附則で定めている公布の日から1年を超えない範囲内において政令で定める日となっています。しかし、例外も定めています。以下、主な内容と施行日を紹介します。
【相続関係】
①配偶者居住権の新設。高齢化社会を意識して設けられました。自宅を所有していた夫が死亡し、妻がその自宅に住み続けたい場合に、夫の相続財産のうち自宅の割合が2分の1であったとすると、妻の法定相続分は2分の1ですから、自宅を相続すると他の現金預貯金について相続できないことになります。
そこで、自宅を所有権と居住権に分けることによって、現金、預貯金などの生活資金も相続できることになります。問題は、居住権の登記と評価をどうやって決めるかという点にあります。
※施行は附則では、公布の日(平成30年7月13日)から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日となっていますが、改正債権法の公布が同年4月1日ですから、それと統一する可能性があります。
②婚姻期間20年以上の夫婦間で住居の遺贈、贈与があっても、特別受益の対象外とする。
今までは居宅が贈与や遺贈(遺言による贈与)があった場合は、それも相続財産に加えて分割し、その分を分割された相続分から差し引いていました。
③遺産に属する預貯金の仮払い制度の新設。
葬儀の費用など緊急性のあるものについては、遺産分割の合意が成立していなくても、その支払いを受けることができるようになりました。
④相続人以外の親族による特別寄与料の請求権の新設。
今までも相続人がいない場合に限り、特別縁故者として裁判所が認めた場合には、相続人でなくとも請求はできました。しかし改正により、相続人がいても、相続財産の維持や介護に寄与してきた親族(例えば長男の妻)にも請求権が認められるようになりました。
⑤遺留分減殺請求権の金銭債権化や、計算方法の明確化、さらに生前贈与の限定など。
※以上②〜⑤の施行日は原則により公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日。
【遺言関係】
①自筆証書遺言でその全文を本人が自書することが必要でしたが、改正により、財産目録についてはワープロ・パソコンで打ったものでも良いことになりました。
※施行日は附則で公布の日から6カ月経過した平成31年1月13日となっています。
②自筆証書遺言書を法務局(登記所)で預かる制度の新設。遺言書の形式の確認や、紛失、偽造、変造を防ぐ目的があります。
※施行日は2020年7月13日までの政令で定める日。
その他民法の改正として、成年年齢が20歳から18歳へ引き下げ、男女の婚姻開始年齢を18歳以上に統一する、などがあります。
※いずれも施行日は2022年4月1日。
弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581 |
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