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この夏の健康対策 荒川区/60歳男性 |
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東日本大震災の影響で節電の必要性が問われています。特に今年の夏は、冷房をつけない、あるいは設定温度を上げるなどの節電対策が求められています。そのこと自体はいいと思うのですが、私は夏の節電が健康に与える影響が心配です。同居している80歳を超える親が暑さに参ってしまうのではないかと今から気をもんでいます。節電を心掛ける一方で、高齢者の健康を維持するにはどんなことに気を付ければよいでしょうか。
節電については、今年は多くの人が気にされていることと思います。今年の6月に発表された厚生労働省の人口動態統計によると、昨年、熱中症で亡くなった人は1700人以上と、1964年に調査を開始して以来、最も多かったとのことです。昨年といえば、救急車で運ばれたりということがなくても、多くの人が猛暑に参っていたのではないでしょうか。このような猛暑のときに気をつけなければならないのは、熱中症と脱水症です。
熱中症とは、気温が高過ぎたりすることによって体温の調節がうまくいかなくなった結果、肺や腎臓といったあらゆる臓器が機能しなくなり、生命に危険をもたらすものです。
脱水症とは、大量に汗をかくことで、血液の濃度が高くなり、血管が詰まりやすくなってしまうものです。もともと血管が狭くなっている上で脱水症になると、血栓などができてしまい大変危険です。特に、心臓で起こった場合は、即、心筋梗塞に陥り、命の危険にさらされます。また、脳で起きた場合は脳梗塞というリスクもあります。
真夏の時季は、熱中症と脱水症が併発することもありますので、十分に注意が必要です。これらの症状は、すべて、体が適切な環境にないことによって引き起こされます。体温を上回る気温の場所に長時間いたり、水分補給が足りない時に引き起こされるのです。
節電も大変重要ですが、その中で、体に負担にならない環境をつくることが大切です。例年のようにクーラーを思う存分使うことは難しいでしょうが、扇風機を併用することで空気が循環し、かなり快適に過ごすことができます。また、水分補給については、大量に飲んでその後しばらく飲まないというよりも、適度な量をこまめに摂取する方がよいといえます。
特に高齢者の場合は、血管の動脈硬化などによって感覚が衰えており、暑さを感じにくいということがあります。ご家族や周りの人が気をつけて適切な環境を保つように心掛けてあげてください。
ハートケア情報委員会 東海大学医学部付属病院教授 伊苅裕二
◇ハートケア情報委員会のホームページでは、心臓病に関する情報を提供している。
http://heartinfo.jp/ |
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