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夜間頻尿で睡眠不足に 練馬区/75歳男性 |
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夜になると2時間おきぐらいに尿意をもよおします。幸いベッドに戻ればすぐに眠りにつけますが、睡眠不足になって困っています。排尿行為そのものに異常があるとは思えません。山歩きが好きで疲れた日はよく眠れ、その分当然回数も減りますので運動不足が原因とも考えられます。気になってかかりつけ医(内科)に相談したところ、「昼寝をすること、トイレに行くのを極力我慢すること」と言われてしまいました。ただ、我慢するのは苦痛ですし、尿漏れの可能性もあるのでそうもいきません。
夜間頻尿とは、「夜間1回またはそれ以上排尿のために起きなければならない訴え」とされています。夜間頻尿の原因は、夜間の多尿と、夜間の膀胱(ぼうこう)容量の減少(わずかな刺激でも尿意をもよおす)に分けられます。
夜間多尿の原因としては水分過剰摂取(1日を通しての水分取り過ぎ)が多くみられます。また高血圧症も夜間頻尿の原因となります。特に高血圧の人が水分を過剰摂取した場合は注意が必要です。体内の水分量が増加し心臓に負荷がかかる結果、ナトリウム利尿ペプチドという物質が分泌されることや夜間に腎臓への血流が増えることによって尿の産生が増加し、夜間多尿の状態になります。
また、前立腺肥大、加齢による腎臓の濃縮力の低下、糖尿病による夜間高血糖、心不全や慢性腎不全も夜間多尿の原因となります。
夜間膀胱容量の減少の原因としては、まず睡眠障害が考えられます。これは睡眠物質のメラトニンの分泌が加齢により低下し睡眠障害が起こりやすく、そして夜間頻尿の人はメラトニンが少ないことが報告されています。
一般的に夜間に抗利尿ホルモンの働きにより尿量が減り夜間にトイレに起きなくてもすみますが、不眠になるとこの濃縮作用がおこらず夜間頻尿となります。さらに過活動性膀胱も膀胱容量を減らす原因のひとつです。
相談内容から考えると、日中疲れた時には夜間頻尿は起こらないということですので、後者の睡眠障害によるものが考えられます。日中に体を動かし夜は十分に睡眠をとることが大切です。ただ、基礎に病気が隠れている可能性もありますので、泌尿器科に相談することをお勧めします。
東京慈恵会医科大学 蔵田英明 |
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